榎木津礼二郎
榎木津礼二郎(えのきづれいじろう)†
探偵。中禅寺秋彦、関口巽旧制高校時代の1期先輩。旧華族の家柄で、学問、武道、芸術、喧嘩色事すべて優秀で陽気、天衣無縫、天真爛漫、躁病気味。木場修太郎と同年(35歳?)。子どものころから視力が弱く、代わりに人の記憶を再構成して見る能力がある。他の人と違う景色を視ていることに気付いたのは、5歳か6歳か、もしかしたらもう少し前。兄と父に相談したが、兄には理解されず、父には関心を示されなかった。
終戦の数日前、照明弾の閃光をまともに浴び、ほとんど視力を失った。本土に戻った頃には右目だけはある程度見えるようになったが、左目の視力はほとんど戻らなかった。これにより、記憶を見る力がさらに強くなった。
父榎木津幹麿をバカ呼ばわりしているが、それなりに尊敬していたりする。
ちなみに、子どもが非常に好きで異常に可愛がる(天骨の匂いを嗅ぐ)。また、小さな頃、動物が好きだった。猫だの亀だの寄居虫だの、そうしたものに触れたときの悦びようは常軌を逸していた。
一方、水気のないもそもそした菓子と竈馬が嫌い。
言葉遣いは、流暢ではあるが抑揚が滅茶苦茶。
動いたり喋ったりしなければ善い人だが、生きているので動くし喋る。(関口巽評)
経歴†
木場修太郎および降旗弘の幼馴染み。兵隊ごっこでは、常に客分扱いの特別待遇。
旧制高校卒業後は、東京帝国大学の法学部に進学。出征直前まで、神崎宏美と交際していた。
太平洋戦争時は、学徒出陣の予備士官として従軍。軍隊時代は「剃刀」と渾名される切れ者の青年将校として昇進を重ねる。
復員後は半月実家で暮らした。その後アパートを借りて、知り合いの伝手で雑誌や新聞の図案描きなどをした。やがて仲介人と喧嘩になり、辞めた。次ぎに、兄総一郎のジャズクラブでギターを弾いて暮らす。父から財産の生前分与を受けると、神保町に貸しビル「榎木津ビルヂング」を建て、探偵を始める。榎木津ビルヂングは3階建てで、地階は何とかというバー、1階はテーラー、2階には雑貨の卸問屋会社と弁護士か税理士の事務所。3階すべてが探偵事務所薔薇十字探偵社。
探偵としては一切捜査を行わず、事件を「解決」あるいは「粉砕」する。
(おまけ) 後に財閥の長になり、中川財閥の会長とも懇意しているという。平成18年時点では存命の模様。
昭和25年秋 ビルヂングを建て、探偵になることを決める
昭和27年2月 薔薇十字探偵社開業
昭和27年7月 雑司が谷嬰児連続失踪事件に関係
昭和27年9月 武蔵野連続バラバラ殺人事件に関係
昭和27年12月 逗子湾金色髑髏事件に関係
昭和28年2月 箱根山連続僧侶殺害事件に関係
昭和28年6月 韮山山中で乱闘を堪能
虫歯で奥歯を抜く
昭和28年7月 鳴釜事件(通産官僚の汚職脱税事件)を解決
昭和28年7月後半 由良昂允からの依頼で鳥の城へ
昭和28年8月 瓶長事件(茶道具屋の書画骨董贋作事件)を解決
昭和28年 山颪事件(美食絡みの国際美術品窃盗売買事件)を解決
山颪事件の夜、浅草で大乱闘
昭和28年9月 映画「怪猫 佐賀屋敷」を見る
昭和28年9月11日 江藤徹也を「糾弾」する
昭和28年9月12日 不審者として大磯の派出所に保護される
昭和28年9月13日 神崎宏美と再会
昭和28年11月 五徳猫事件を解決
昭和28年12月1日 神無月鏡太郎を撃退。雲外鏡事件を解決
昭和28年12月15日 待古庵で「値打ちもん」を盗み、警邏の群れを蹴散らす(怪盗猫招き)
昭和28年12月16日 銀座で東雲画伯の絵を盗み、警官隊と大立ち回り(怪盗猫招き)
昭和28年12月17日 池袋で古唐津の茶碗を盗む(怪盗猫招き)
昭和28年12月18日 麻布で鰹節を盗み、警官を揶いながら逃走(怪盗猫招き)
昭和28年12月19日 羽田隆三宅に登場。面霊気事件を解決
昭和28年12月31日 鬼苛め(追儺)挙行?
昭和29年2月 日光でテニス
外見†
西洋の磁器人形(ビスクドール)のような整った顔立ち。驚く程に大きい目に鳶色がかった瞳。東洋人とは思えないほど色白で、日に透かすと髪の毛は栗色を通り越して茶色に見える。色素の薄い男。
家族・親族†
父:榎木津幹麿
兄:榎木津総一郎
別名・仇名・通称†
剃刀(海軍時代)、エノさん(関口巽)、エヅ公(司喜久男)、怪盗猫招き
登場作†
姑獲鳥の夏
魍魎の匣
狂骨の夢
鉄鼠の檻
絡新婦の理
塗仏の宴
陰摩羅鬼の瑕
邪魅の雫
鵼の碑
百器徒然袋 雨 鳴釜・瓶長・山颪
百器徒然袋 風 五徳猫・雲外鏡・面霊気
百鬼夜行 陽 目競
ぬらりひょんの褌(小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所)
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